タクシーの流し営業のコツ

タクシードライバーが一カ所にとどまらず、道路を走りながら乗客を探す営業スタイルを「流し営業(流し)」と呼びます。このページでは、タクシーの流し営業に関して注意点や効率化のポイントなどを解説していますのでご活用ください。

タクシーの「流し」とは

タクシーの営業における「流し(流し営業)」とは、タクシーで道路を走行しながら乗客を探すスタイルの営業法です。

駅前やホテル、観光地など特定のスポットで客待ちをする「付け待ち」スタイルでなく、タクシードライバーが能動的にエリアを走って見込み客を探していく流し営業スタイルは、場合によっては積極的に稼いでいける手段になります。しかし流し営業は必ずしも乗客を発見できるとは限らないため、きちんと営業計画やルート戦略を立てておかなければ逆に営業効率が低下してしまうこともあるでしょう。

そのためエリアや時間帯によって付け待ちと流しを組み合わせる場合もあります。

そのほかの営業方法

タクシーの営業スタイルとしては、流し営業を含めて大きく3パターンがあります。

  • 流し営業:道路を走りながら乗客を探す
  • 付け待ち営業:特定の場所にとどまって乗客を待つ
  • 配車営業:乗客や提携店からの要請に応じて迎えに行く

例えば付け待ち営業の場合、狙い目になるスポットとしては例えば駅やホテル・旅館、観光地、またイベント会場の前などが挙げられるでしょう。特に通退勤の時間帯や人気イベントの開催日、観光シーズンなどは付け待ちで合理的に売上アップを目指していくことも期待できます。

一方、配車営業は居酒屋やレストラン、小売店などの要請を受けて顧客を現地まで迎えに行ったり、乗客自身がタクシー会社へ電話したり配車アプリなどを活用してタクシーを呼んだりといったパターンになります。

流しと付け待ち、どちらの効率が良い?

流し営業と付け待ち営業のどちらが効率的になるかといえば、タイミングや営業場所によって変わるというのが実状です。

例えば通退勤の時間帯や深夜帯、雨天時であれば流し営業より駅前での付け待ちや飲食店からの配車要請の方が効果的に乗客をピックアップできるかもしれません。逆に昼間などの時間帯であれば流し営業で乗客を積極的に探す方が稼げることもあるでしょう。

流しと付け待ちはそれぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが効率的になるのか考えるのでなく、どちらのメリットも追求できるよう上手に組み合わせながら活用していくことがポイントです。

稼げるタクシーの流し方

流し営業を成功させるための方法や対策には色々なものが考えられますが、ここでは特に普段からコツとして意識できるものを紹介しますので参考にしてください。

人の流れと人口の変化を意識する

流し営業であっても付け待ち営業であっても、原則として人の量の多い場所や時間帯を見つけることが重要です。人が多ければ多いほどタクシーを利用しようと考える人に出会える確率も高まるため、例えばオフィス街や飲食店街、駅前やバス停といった人通りの多そうな場所を流してみるようにしましょう。

特に通退勤時の駅やバス停などで、付け待ちタクシーやバスに乗ろうと行列ができているような場合、あえて周辺を流すことで列に並ぶことを避けた人をピックアップできるかもしれません。

また時間帯による変化やエリアの特性を意識することも大切です。

土地の特性や地形を考える

例えば坂道の多いエリアや、住宅街で坂道を上らなければ家までたどり着けないような土地の場合、麓の小売店などで買い物したりショッピングから帰ってきたりした人が家までタクシーを利用する可能性も高まります。

また時間帯によって交通バスの運行スケジュールにムラがあり、バスの本数が少ない時間帯やエリアであれば流しのタクシーに対する需要が高まることもあるでしょう。

急な天候不良に備える

いきなり雨が降ってきたり強い風が吹いていたりするような場合、悪天候時の徒歩移動を敬遠して、普段はタクシーを利用しない人でもタクシーを使おうと考える可能性が高まります。

特に天気予報では晴れや曇りだと案内されていながら、突発的なにわか雨などに見舞われたような場合、雨具を用意していない人が慌ててタクシーを見つけて手を挙げることも珍しくありません。

そのためタクシードライバーは天気予報を普段から意識しておき、またタイミングを見つけて雨雲の変化などもチェックすることが大切です。

季節や気温をチェックする

天気が良い日でも、夏場や冬場はそもそも暑さや寒さで屋外での移動がつらくなります。特に夏の猛暑日や酷暑日は屋外での徒歩移動が健康リスクへつながることもあるため、タクシードライバーによっては営業チャンスになることもポイントです。

電車の事故や障害に備える

踏切での事故や駅での事故など、何かしら突発的な理由で電車が止まってしまうこともあります。そのような場合、多くの乗客が行動を制限されるため、早く帰りたい人は電車の運行再開を待たずにタクシーなどを利用することも考えられます。

電車の障害情報や交通情報についてもラジオや無線によって定期的にチェックし、タクシー会社へ勤めている人は本部とも連携しながら迅速に対応することが大切です。

人気イベントの予定や開演・終演時刻をチェック

コンサート会場やスタジアムで開催されるイベントの情報をチェックしておき、人気のイベントがある時は積極的に周辺を流すことも有効です。またイベント情報を確認する際には必ず開演時刻と終演時刻の両方を調べておき、開演時刻の前には駅周辺を流し、終演時刻の頃には会場の近くを流すといった工夫を考えることも欠かせません。

なお、イベント会場へ向かう際には時間帯によって交通量の変化も考慮し、開演時刻へ遅れないよう対策しておくことも重要です。

意識的に走行スピードを落とす

流し営業の時は普段よりややゆっくりと道路を走行し、歩道でタクシーを待っている人を見逃さないようにすることもポイントです。また走行速度が速すぎると、せっかく見込み客を見つけても通り過ぎてしまう可能性が高まります。

また安全運転を意識することを前提としつつ、自分が走行している側の歩道だけでなく、対向車線の歩道にも配慮する余裕を持っておきましょう。

前後の車両との車間距離を空ける

見込み客を発見して急に速度を落としたり、慌てて顧客の元へ向かおうとしたりした時、前後の車両との間隔が狭いと交通事故につながってしまう恐れがあります。

そのため前方車両と十分な車間距離を保持することはもちろんとして、見込み客を見つけた際にも急ブレーキなどを踏まず、少し減速をして様子をうかがえるよう早めに周囲を見渡しておく意識が大切です。

交差点で信号が赤に変わる時はチャンス

交差点で信号が青から黄色、そして赤へと変わろうという時、運転者の中にはあえて加速して信号が変わる前に交差点を通り抜けようとする人もいます。しかし、流し営業中のタクシードライバーにとってはむしろ信号が赤に変わろうかという時はチャンスです。

なぜなら信号が黄色から赤に変わるタイミングで早めに減速して交差点の先頭で停止できれば、横断歩道や周辺を歩く人へ「空車」の表示をアピールしやすくなるからです。

なお、そもそも黄色信号で交差点へ突っ込むことは危険なので、普段から余裕を持って運転するように努めてください。

左車線をキープして急な車線変更を回避する

複数の車線がある場合、左車線を走行して、見込み客を発見した際に急な車線変更を行わなくて済むようにしておきましょう。

なお、反対車線に見込み客を見つけた場合、右側車線へ移動してUターンや方向転換を試みることもありますが、あくまでも安全運転を厳守することが必要です。

稼げるかどうかは
「営業エリア」や「タクシー会社」も重要

タクシードライバーで流し営業の戦略を立てることは大切ですが、そもそもタクシードライバーとして収入増を目指す場合、乗務する営業エリアや所属するタクシー会社を選ぶことが何より重要です。

上述したように、そもそも人口の多さがタクシーに対する需要やタクシードライバーの収入へ影響するため、例えば地方でタクシードライバーをしてもなかなか稼げないような場合、東京や大阪、横浜といった都会で働くといった工夫も考えてみましょう。

またタクシー会社によって雇用条件や給与体系が異なっており、また本部との連携やノウハウについても差があるため、積極的に稼ぎたいなら実績や環境について信頼性のある大手のタクシー会社へ就職することも効果的です。

なお、新しい土地や会社でタクシードライバーとして働く場合、改めて周辺の地図や諸情報を勉強しなければならないため、会社としてどのようなサポート体制を用意しているのかについて確認しておくことも欠かせません。

タクシーの流し営業に関するまとめ

タクシーの流し営業は時間の有効活用につながり、タクシーの売上をアップさせる戦略として効果的です。しかしその有効性や生産性を正しく向上させるには、付け待ち営業や配車営業との違いを理解した上で、流し営業のコツを実践していくことが肝要です。

流し営業のポイントを押さえて自分なりの営業スタイルを確立させましょう。

   
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