配送ドライバーってどう？タクシー運転手との違いを徹底比較

タクシードライバーは「人」を運ぶ仕事、配送ドライバーは「もの」を運ぶ仕事です。一見似ているようで異なるこれらの職業には、それぞれ独自の特徴や魅力があります。このページでは、タクシードライバーと配送ドライバーの違いに焦点を当て、それぞれの働き方やメリットについて詳しく解説します。

配送ドライバーとは

配送ドライバーは、さまざまな荷物を車両に積み込み、指定された場所へ届ける仕事を担います。しかし、一口に配送ドライバーといっても、その仕事内容や働き方は多岐にわたります。

• 個人宅への配達：自家用車や軽貨物車を使い、主にECサイトや宅配サービスの商品を配達
• 企業向けの配送：トラックで大量の荷物を運搬し、オフィス、工場、小売店などに届ける業務

また、配送内容やルートはあらかじめ決められている場合もあれば、その都度異なるケースもあり、必要となるスキルや知識も業務内容に応じて変わります。

さらに、一部の配送業務では荷物の集荷や伝票の作成、さらには商品のプロモーションを兼ねることもあるため、多岐にわたる対応力が求められる場合もあります。

配送ドライバーになるために必要な資格

タクシードライバーが「普通免許」に加えて二種免許を取得する必要があるのに対し、配送ドライバーに必要な資格は基本的に「普通免許」のみです。ただし、車両の大きさに応じて以下のように必要な免許が異なります。

• 普通自動車第一種免許：軽貨物車や自家用車での配達業務
• 準中型免許以上：2tトラックや中型トラックでの荷物運搬

配送業務の種類や使用する車両に応じて、適切な免許を取得する必要がある点は押さえておきましょう。

配送ドライバーとして働くメリット

配送ドライバーは、特別な資格がなくても始めやすい仕事です。それだけでなく、以下のような魅力的なメリットがあります。

普通免許しかない人でも働ける

配送ドライバーの最大の魅力は、普通免許だけで仕事を始められることです。タクシードライバーのように二種免許を取得する必要がないため、運転免許を持っていればすぐに応募可能な求人が多く見つかります。ただし、大型車両を扱う場合は追加の免許取得が必要です。

人間関係のストレスが少ない

配送ドライバーの仕事は、基本的に一人で運転する時間が多いのが特徴です。そのため、オフィス勤務や接客業のように、常に同僚やお客様と接する必要がありません。

ただし、荷物の受け渡し時には荷主や取引先の顧客とやり取りをする場面があるため、最低限のビジネスマナーや接客対応スキルは重要です。

決まったエリアで働ける

配送ドライバーは、指定されたエリア内で荷物を運ぶ仕事が一般的です。そのため、長距離運転や不慣れな土地での業務に不安を感じる方でも安心です。さらに、ルート配送の場合はあらかじめ決められた道を走るだけなので、地図が苦手な人でも問題なく働けるでしょう。

勤務時間が比較的安定している

配送ドライバーは、配達スケジュールに基づいて業務が進行します。そのため、勤務時間が比較的安定しているのが特徴です。想定外の残業や休日出勤が少ない職種といえるため、規則的な生活リズムを保ちながら働きたい人に向いています。

未経験者でもチャレンジしやすい

配送ドライバーは、未経験から始めやすい職業として人気です。求人情報では「未経験歓迎」の文言が多く見られるため、初めての業種としても安心して挑戦できます。

また、現代ではカーナビやスマートフォンの地図アプリが普及しているため、道に不慣れな人でも適切なルート案内を受けられるのがメリットです。これにより、初心者でもスムーズに業務に慣れることができます。

配送ドライバーのきつい・大変なところ

配送ドライバーは多くのメリットがある一方で、大変だと感じる部分も少なくありません。ここでは、配送ドライバーとして働く上で直面しやすい課題や、きついと感じやすいポイントについて解説します。

時間厳守のプレッシャーがある

配送ドライバーの仕事では、時間厳守が重要なルールです。配達先に荷物を届けるための時間帯が細かく指定されていることが多く、場合によっては非常に短い時間内での配達を求められることもあります。

しかし、道路状況は天候や工事、事故の影響を受けるため予測が難しく、思わぬ渋滞に巻き込まれることもあります。その結果、「時間内に届けなければ」というプレッシャーを強く感じ、精神的なストレスを抱えるドライバーも少なくありません。

体力が求められる場面が多い

特に重い荷物や大きな荷物を扱う配送ドライバーの場合、体力が必要になります。荷物を車から持ち上げたり、運んだりする際に腰を痛めるリスクもあるため、正しい姿勢での作業が求められます。

また、夏の暑さや冬の寒さといった屋外での積み込み・積み下ろし作業も体力的な負担を増やします。これらの理由から、配送ドライバーは思った以上に体力仕事であると感じる人が多いようです。

駐車違反や運転時のストレス

配送中に気をつけなければならないのが、駐車違反のリスクです。路上駐車が認められるエリアであっても、道幅が狭い場所や交通量が多い場所では、周囲の迷惑にならないよう細心の注意を払う必要があります。

さらに、駐車場所が見つからず、配達先まで長距離を歩かなければならない場合や、階段を上らなければならないケースもあります。これに加えて、他のドライバーとの接触や駐停車時のトラブルを避ける意識を常に持たなければならず、運転中の精神的な疲れを感じることもあります。

業務外の手伝いを求められることがある

配送ドライバーの仕事は荷物を運ぶことが中心ですが、取引先から本来業務外の作業を依頼される場合もあります。例えば、小売店に荷物を届けた際に「倉庫に積むのを手伝ってほしい」と頼まれるケースです。

基本的には断ることもできますが、取引先との関係を考慮し、やむを得ず対応するドライバーも多いようです。こうした状況が積み重なると、不満やストレスにつながることがあります。

労働時間や収入に限界がある

配送ドライバーの仕事はスケジュールや仕事量が固定化されやすいため、収入アップを目指して「もっと働きたい」と思っても限界がある場合があります。特に運送業界では、勤務時間や乗車時間に関する法律が厳しく定められており、それを超える働き方は基本的にできません。

そのため、配送ドライバーとして働きながら収入を増やすには、副業や資格取得など別の手段を考える必要があるでしょう。

同じルートを走ってばかりで仕事に飽きる

配送ドライバーの仕事は、多くの場合決まったエリアやルートで荷物を運ぶスタイルです。そのため、日々の業務に変化が少なく、同じ道や届け先を繰り返すことで飽きを感じる人もいます。

特にルート配送では、運搬ルートが固定化されることが多く、新しい場所や出会いが少ないため、仕事に刺激を求める人には不向きと感じられる場合もあるでしょう。

【比較】配送ドライバーVSタクシー運転手

配送ドライバーとタクシードライバーは「車を運転して対象を運ぶ」という点では共通していますが、仕事内容や働き方にはさまざまな違いがあります。ここでは、それぞれの特徴を具体的に比較していきます。

運ぶ対象

タクシードライバーは、人を乗せて目的地まで運ぶ仕事であるのに対し、配送ドライバーは荷物を届け先まで運ぶ仕事です。タクシードライバーには乗客との会話や接客スキルが求められる一方で、配送ドライバーは荷物を丁寧に扱い、時間通りに配達する責任が重視されます。

この「運ぶ対象」の違いが、両者の仕事内容を大きく分けるポイントとなっています。

必要な資格

タクシードライバーは、普通自動車免許に加えて「二種免許」の取得が必要です。一方、配送ドライバーは二種免許は不要で、普通免許があれば始められる仕事も多いです。

ただし、配送ドライバーの場合、運転する車両が2tトラックなどの中型車以上になると「準中型免許」や「中型免許」が必要になる場合があります。

業務スケジュール

タクシードライバーは、隔日勤務が一般的で、1日の乗務時間が長い分、休日も多く設定されています。自分のペースで休憩を取りながら働けるのが特徴です。

一方で、配送ドライバーは毎日の出勤が基本で、決められた配達スケジュールに従って仕事を進めます。日々の業務はルーティン化されやすく、時間通りの配達が求められるため、時間管理能力が重要になります。

収入

タクシードライバーの収入は、基本給に加えて歩合給が加算される仕組みです。そのため、乗客を多く獲得したり、効率的に稼働したりすれば高収入を目指せます。一方、配送ドライバーは固定給が主流で、収入が安定しやすい仕事です。

ただし、ルート配送や車両の種類によって収入の幅が異なる場合があります。短期間で大きな収入を狙いたい人にはタクシードライバー、安定した収入を得たい人には配送ドライバーが適していると言えるでしょう。

対人関係

タクシードライバーは乗客と直接接する時間が長く、接客業としての意識が不可欠です。場合によってはクレーム対応やトラブル処理が必要になることもあります。一方で、配送ドライバーは取引先や届け先の顧客と接する場面はあるものの、基本的には一人で作業を進める時間が長いです。人と接する機会が多いのがタクシードライバー、比較的少ないのが配送ドライバーという違いがあります。

肉体的・精神的負担

タクシードライバーは、接客業ならではの精神的ストレスを感じることが多く、乗客対応に気を遣う場面が少なくありません。一方、配送ドライバーは荷物の積み下ろしや運搬など、体力を使う仕事が中心です。

そのため、タクシードライバーは精神的な負担が大きくなりやすく、配送ドライバーは肉体的な負担が増える傾向があります。ただし、どちらも長時間の安全運転や集中力の維持が求められるため、体力的・精神的なタフさはどちらの職業にも必要です。

まとめ

配送ドライバーとタクシードライバーは、どちらも社会に欠かせない役割を担う仕事です。共通点としては「車を運転して目的地へ対象を運ぶ」という点がありますが、運ぶ対象や働き方には違いがあります。配送ドライバーは「もの」を運ぶ仕事であり、時間通りに荷物を届ける正確さや体力が求められます。一方、タクシードライバーは「人」を目的地まで運ぶ仕事であり、お客様に快適な移動時間を提供する接客スキルが重要です。

タクシードライバーの魅力は、歩合制を採用しているため自分の努力次第で高収入を目指せることや、自分の裁量で休憩を調整できる働き方の自由度の高さにあります。

どちらの仕事にもそれぞれの特徴ややりがいがありますが、人とのつながりを大切にしながら、自分のペースで稼げる仕事を求める方にはタクシードライバーが特におすすめです。