AT限定でもタクシードライバーになれる？

自動車のAT限定免許は、マニュアル車（MT車）でなくオートマチック車（オートマ車：AT車）の運転に限定した一種免許であり、AT限定免許の人はAT車しか運転することができません。しかし現代はAT車が主流であり、AT限定免許しか持っていなくてもタクシードライバーとして働くことは可能です。

AT限定免許でもタクシードライバーになれる！

結論からいえば、AT限定免許でもタクシードライバーとして働くことはできます。

そもそもタクシードライバーとして自動車を使って乗客を有料で運ぶためには、自動車の運転に必要な一種免許だけでなく、二種免許を取得していなければなりません。そして一種免許に「AT限定免許」が存在するように、二種免許にもAT限定の免許が存在しています。

当然ながらAT限定免許はAT車しか運転できないため、使用するタクシーもAT車に限られます。とはいえ現代ではAT車が主流であり、むしろMT車を運転する機会は少ないでしょう。

AT車を採用するタクシー会社が増えている

MT車を運転する場合、クラッチ操作やギア操作などが必要になり、運転技術が未熟な人がドライバーとして車を運転すると、同乗している人にとって乗り心地はとても悪くなってしまいます。一方、AT車はギアチェンジに必要な操作を自動車の機構が自動的に行うため、アクセル操作やブレーキ操作に注意すれば、基本的にドライバーによる乗り心地の差は抑えられることがポイントです。

またAT車では坂道発進などの際に後退したりエンストしたりといったリスクも少ないため、現在はAT車のタクシーを採用するタクシー会社が増えています。

AT限定のほうが二種免許の取得かかる費用が安い

AT限定免許はMT車を運転できず、AT車しか運転できないという制限があるものの、現実的に市販されている自動車の大半がAT車であり、現在に公道で走行しているMT車はかなり年式の古い車か、趣味性の強い一部車両に限られているのが実状です。そのため日常生活の範囲内で考えれば、むしろ普通免許とAT免許にほとんど違いはありません。

とはいえやはり普通一種免許とAT限定免許では運転可能な範囲が異なるため、必然的に普通免許の方が免許取得に必要な教習時間も多くなっています。

つまりAT限定免許の方が時間的にもコスト的にも負担を抑えて取得することが可能であり、二種免許を取得する際も同様です。

会社や地域によってはMTの免許が必要なことも

AT車のタクシーが増えており、タクシー会社もAT限定免許のタクシードライバーを起用するケースが増加傾向にある中、やはり会社の方針や地域によってはMT車の操作技術が必要とされていることもあります。

実際、本当に運転技術の優れているドライバーであればMT車の方が乗り心地をスムーズにできる上、燃費に関してもMT車の方が良好になります。特に近年は原油価格の高騰などでガソリン代も値上がりを続けており、経費削減の一環としてMT車を選択することにも一理あるでしょう。

そのためAT限定免許でもタクシードライバーにはなれますが、勤め先の方針や条件によってはMT車を操作できない人は改めて限定解除が必要になるかも知れません。

AT限定免許からMT免許に切り替えることはできる？

AT限定免許を取得している人が、改めて学科教習や技能教習を受けて限定解除を行い、普通一種免許と同様にMT車を運転することは可能です。そのため個人としてAT限定免許を取得しておき、タクシードライバーとしてタクシー会社へ就職してから改めて限定解除を行って普通免許に切り替えるといった人も珍しくありません。

なお、タクシー会社によってはAT限定免許と普通免許（MT免許）で雇用待遇などに差を設けていることもあり、実際の業務内容は同じでも給与面で好条件を得るために限定解除を目指すといったことも考えられます。